Polaris
あたしは結城さんに近づく。


「結城さん」


あたしは結城さんにだけに聞こえるように、小声で言う。


「なんだよ」

「結城さんから、伊東さん止めて貰うこと出来ませんか?」

「俺が、社長に言えるわけねぇだろ」


バカにされたような口調で言われる。


伊東さんのことを社長だと言ってるわりに、結城さんの態度はどうなんだろうか。


「てかさ、これで客取れるならいい話だと思うけど」

「え?」

「だって寝なくて客が付くなら、楽な話だろ」


この人はあたしのことをそんな風に見ていたんだ。


この世界の女がみんな枕をしていると思わないでよ。


あたしは結城さんのことを睨む。


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