Polaris
頬に冷たいものが流れる。


あたしはソッとその雫に触れる。


「、、、な、みだ?」


今まで、泣きたい時に泣けなかったのに、、、。


なのに、こんな時に涙が流れるなんて、、、。


この涙と一緒に、この想いも、この汚い感情も全部、全部流れてしまえばいい。


そんなことが出来たら、どんなにいいだろう。


でも、あたしの涙はあの一滴しか流れてくれなかった。


あたしの闇を洗い流してくれるほど、その一滴には効果はなかった。


__ガチャガチャ__


部屋の向こうからする、物音に咄嗟にその一滴を拭った。


隼人が帰って来たという事は、、、。


窓の方に視線を移すと、カーテンの隙間から太陽の光が入って来ていた。

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