Polaris
ラストの日。


お店の入り口はあたしへ送られた、無数の花束で埋め尽くされた。


オープン前だというのに、お店の外はお客さまで混雑している。


こんなにいっぱいの人が、もう会えないかもしれないあたしのために来てくれた。


あたしがここで生きた時間は、無駄な時間だけじゃなかったのかもしれない。


そう思えただけで、この街に来たことは間違いだけじゃなかったんだと思えた。


ミライとしてだけど、あたしのことを見てくれてた人は居たんだ。


「ミライさん、そろそろ」


溝口店長の言葉で、お店がオープンした。


オープンしたのと同時に、満卓状態。


外には入りきれなかった、お客さまがまだたくさん居た。

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