Polaris
「、、、いくら」


その後、母親が口にした金額に、あたしはなにも言えなくなった。


そんな大金、あたしに払えるわけない。


「そんなお金あるわけないじゃん」

「まだ、働けるでしょ」


それは、あたしにもう一度あの世界に戻れということ?


普通の母親がそんなことを子供に言うだろうか。


どっちにしろ。この人は普通じゃないんだ。


「それとも、2人に頼む?2人なら、アンタのために喜んで、出してくれるかもね」


はら、こんなことも言えてしまうんだからこの人は。


「辞めて。、、、あたしが払うから輝と翔には何も言わないで。あの2人にもう、関わらないで」


母親は煙草を吸い始めた。

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