Polaris
それは、俺が未来のことを好きだったから。


自分のものにしたいって、思ったさ。


でも、俺はそれを決して口にはしない。


それは今も昔も、未来のことを苦しめることになるってわかってるから。


俺が未来に恋をした時には、もう未来は輝のことを好きだった。


輝と莉奈と4人で居る時も、いつだって未来の目は輝を追いかけていたから。


だから、俺は未来に想いを伝えようとはしなかった。


自分の気持ちを伝えて壊れてしまうぐらいなら、このままの方が良いと思った。


でも、あの日。


親父が施設に来た日、俺はつくづく思ったよ。


未来に気持ちを伝えなくてよかったっと、、、。


そして、俺が輝じゃなくて本当によかったとも。


あの時の輝の傷は、一生掛かっても癒えることはないだろう。


それぐらい、俺も輝も現実に打ちのめされたよ。

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