Polaris
あたしも着替えをして、メイクをする。


準備が終わった頃には、部屋の中に女の子はいなくなっていた。


もう、お店で仕事をしているのかもしれない。


ポーチの中から煙草を取りだし、火を付ける。


煙草なんて、いつから吸うようになったのだろうか。


ふと、そんなことを思う。


今じゃ、この煙草があたしの唯一の仲間のように思える。


「なんか、可哀想な人間みたい」


あたしは1人で自嘲的に笑った。


ここにいる人間であたしの本当の名前を知ってる人間いるのだろうか?


あたしも、女の子たちの本当の名前を知らない。


そんな世界に居る。


なんて、曖昧なものなんだろう。


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