Polaris
百合子ママは、スナックを経営している人だった。


母親とは昔、同じ店で職場で働いて、とても仲が良かったと教えてくれた。


百合子ママはあたしが休みの日にはいつもどこかに連れってくれた。


動物園や遊園地、母親より母親らしいことしてくれた。


欲しいものも全部買ってくれたし、愛情だっていっぱい注いでくれた。


あたしの本当の母親が百合子ママだったらよかったのにと、何度も思った。


中学を卒業して、あたしは毎日百合子ママのお店を手伝った。


それが学校にバレて、退学になったけど別に後悔なんてなかった。


やりたいことも、将来の夢もあたしにはなかったから。


それでも「高校くらいはちゃんと卒業して」と言う百合子ママに言葉に、あたしは通信制の高校に通うことにした。


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