Polaris
あたしは忘れために我武者羅に働いた。


百合子ママの所だけじゃなく、他のスナックや飲み屋。


この世界はあたしに向いていると思った。


頑張れば頑張った分、お金に変わる。


嘘で塗り固められた世界。


ここには自分の気持ちとか、何もいらないから。


そう思っていたのに、頑張れば頑張るほど生き苦しくなった。


百合子ママの目にこの頃のあたしはどんな風に映っていたんだろう。


いつものように、飲み屋の仕事から帰って来た日。


百合子ママは起きてあたしのことを待っていた。


「未来、話があるの」


そう言われ、あたしは百合子ママの前に座った。


「ごめんなさい」


急に謝る百合子ママにあたしはどうすれば良いのか、わからなかった。

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