Polaris
お店がオープンして、1時間も経っていないのに
店内は満席状態だった。


「ミライさん」


ボーイに呼ばれ、他の席に立つ。


「もう、行くのか」と少し不機嫌になるお客さまに「なるべく早く戻ってきますね」なんて言い、手を重ねる。


それだけで「わかった」なんて、機嫌が良くなる。


なんて、単純な男なんだろう。


まぁ、こういうお客さまの方がこっちも扱いやすい。


「次のお客さま、新規の方でミライさんご指名です」


席に向かっている途中、ボーイが言う。


「ミラ、、、、」


席に着き、いつものように挨拶をしようとお客さまの顔を見て、あたしは言葉が止まった。


「まぁ、座れよ」


そう言われて、彼の隣に座った。


< 7 / 345 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop