Polaris
お店の中に入ると、週末から始まる夏祭りのポスターが目に入る。


今年もやるんだ。


ポスターの前で立ち止まる。


「夏祭りですね」


声を掛けられ、隣を見るとハナちゃんだった。


「そうだね」

「あたし、初めてなんです」


ハナちゃんは今年の冬から入ったから、夏祭りは始めて。


「そっか。なら、調度良いね」

「調度良い?」

「イベント事の時って、お客さまの出入り激しいから」

「そういうことですか」


ハナちゃんは納得したように、頷く。


昨日までのあたしなら「頑張ろうね」とかそんな言葉を言ってあげられただろう。


でも、隼人のせいで素直に応援できない。


でも「教えてあげる」と言った以上、最後まで彼女の面倒はみよう。

< 92 / 345 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop