私の可愛い泣きべそサンタ
抵抗がなかったかといえば嘘になる。
同級生の男の子の手を握る機会なんて今まであるはずなかったのだから。
パシッと。
紗耶は自分にいくつもの言い訳を重ねながら強引に三汰の手を取った。
「早く帰ってサクラパパにでも挨拶したら?門限一秒でも過ぎたら兄さん明日息してないよ。」
そう冷たく言い捨て、静香は力の限り彼の手を引く。
重かったのは一瞬だけ。
静香は早歩きでバイク組の二人から離れた。
後ろから声が聞こえる。
「静香ーーーーっ?」
いきなり立ち去る理由が分からないのか、サクラは頭にいっぱいハテナを抱え静香に叫んだ。
首だけ振りかえって静香も叫ぶ。
「サクラー!この事誰かに言ったら、絶交するからー!」
「え!?」
それは困るっとサクラは自分の口を両手でめいいっぱい押えた。
絶対言わないっ、と。
絶交、なんて…小学生みたい。
そんな単語なんかでぎゅっと手に力を入れるサクラは、静香からみてもやっぱり可愛くて。
静香は無意識に歩くスピードを上げた。