私の可愛い泣きべそサンタ
炎が揺れる。
それと同じように彼の姿が出たり消えたりする。
そんな様子を、静香はぼんやりと黙ったまま見つめた。
同じように膝を抱えて。
彼と向き合ったまま。
「…。」
「…。」
サクラの香りがする。
どうやらアロマキャンドルだったらしい。
その炎が大きく揺れるたび、静香は自分自身の腕をぎゅっと抱いた。
…寒い。
風が冷たいのは当たり前。
冬の夜なのだから。
「…。」
「…。」
じゃりっと静香は足首をずらす。
ずっとこの態勢でいるには、静香は少々体力がなさ過ぎた。
炎は変わらずゆらゆら揺れる。
「……………。」
じわじわと、静香のストレスゲージは誰も見えないところで上がってきていた。