私の可愛い泣きべそサンタ
「帰り道も分からな……」
ガタッと。
静香は勢いよく立ち上がった。
その音に自分に酔っていた三汰はびくっと現実に帰ってくる。
ああ、
だめだ。
静香は一切彼を見ずにその場から離れ、先ほどのコンビニに駆け込んだ。
だめだ。
本人はいたって真剣なのに。
だめだ。
だめ…
「……っ…っぐ。」
迷子って。
ぶく…っ
静香はドリンクコーナーの隅で肩を震わせ、静かに吹き出した。
…
あーー。
ひとしきり笑わせてもらったあと、静香はおでんの袋を二つ下げ、のっそりとベンチに戻る。
半分期待していなかったが、彼はまだ居てくれていたようだ。
「ん。」
無表情で左手を突きだす彼女に、三汰はとまどいながらもほかほかのおでんを受け取った。