私の可愛い泣きべそサンタ
「あの、さ、…。」
静香は、一人張りつめた声を絞り出す三汰を、静かに見下ろした。
「委員長、……サクラさんの、
栄原サクラさんの家って、知ってる…?」
ぎゅっと拳を握りしめて唇を結ぶ三汰に、静香は、はぁ…と今日何度目かのため息を吐く。
難しい質問だった。
もちろんサクラの家は知っている。
なんたって生まれた時から斜め向かいに住んでいるのだから。
しかし。
しかしだ。
彼女が今家にいる確立はゼロに等しい。
仮に彼女の帰りを待っていたとしよう。
…ああ。
静香にはその情景が目に浮かぶ。
彼が木陰で、じっとサクラを待って。
静香はギリッとゴミ袋を握り直した。
…絶対に、傷付く。
何故ならば、帰って来た彼女の隣には……。
「サクラの家なんて知らないけど。」
静香は冷たく三汰に言い放った。