赤い糸
プロローグ
またあの夢を見た。
昔よく見た夢。
知らない男の人が私に手を差し伸べている。
私はその手を強く握って
二人で遠くへと逃げる。
何かに追われているような、
だけど、
とても幸せな気持ち。
けど、
すぐに追いつかれてしまい、
二人は引き離されてしまう。
彼はとても悲しそうな顔で
「愛してる」
それだけ言って、
どこかへ連れて行かれてしまう……
ひとり残された私は、
彼の名を呼び続ける。
声が枯れてもなお、
彼の名を呼び続ける……