ウソつきより愛をこめて
第七章 再会と覚悟
学生が冬休みに入ると平日の客数も一気に増え、私はほとんど一日中接客に奔走することになる。
(さすがに、朝から立ちっぱなしはキツイな…)
ようやく客足が引いてきたのも束の間、今度はやりきれていないフォロー商品の品出しが待っていた。
「今日久々の残業かも…」
遅番のバイトの子に売り場を任せて、私は疲れた身体にムチを打ちながらバックヤードに引きこもる。
「あれ…?」
なぜかどこを探しても、日中大量に入荷したはずのダンボールが見当たらない。
かわりに置かれているシングルにハンギングされた商品や、袋出しされて綺麗に畳まれた商品がそれとわかると、私は顎に手をあてながら首を傾げていた。
「それ、すぐ売り場に出せるようにしておいたから」
「た、橘マネージャー?」
早番で上がったはずの橘マネージャーが、コートを着ながらこちらに向かってやって来る。
「これで明日から接客だけに専念出来るだろ?あとこれ、コンビニで買ってきたからさ。最後の休憩の時にでも食えよ」
渡された袋の中には大量のお菓子と栄養剤が詰め込まれていた。
「こんなに食べたら太るでしょ…」
「お前はもう少し太って体力をつけろ。この前だって、ちょっと弄ったくらいでバテてただろ」
「…橘マネージャー!」
さっきから顔を赤くしたり青くしたりしている私に、橘マネージャーはいたずらっぽい笑顔を浮かべている。
「あとで寧々と迎えに来るから。…終わったら連絡しろ」
そう言い残して去っていく橘マネージャーをじっと見つめていたら、急に後ろから誰かに肩を叩かれていた。