ウソつきより愛をこめて
第九章 離れ離れの絆
「じゃあ…マリカによろしくね」
「うん。許してもらえるかわからないけど、…寧々のために頑張るよ」
パパとの再会で興奮していた寧々も、二十三時を過ぎる頃にはさすがに力尽きてしまった。
サンタさんから貰った大きなテディベアを抱き抱えて、幸せそうな顔で眠っている。
「悔しいな。こんなに大事そうにしてるの見ると。…急いで来たから、なにも用意出来なくて…」
「来年からは、ずっと寧々のサンタでいられるんだからいいじゃない」
ふと、嬉しそうに寧々へのプレゼントを選んでいた橘マネージャーの顔が、頭をよぎる。
…だめだな。
思い出が多すぎると、忘れる暇さえない。
あれからひろくんは、私が落ち着くまでずっと家にいてくれた。
私のためっていうより、少しでも寧々のそばにいたかったからみたいだけど。
彼が父親としての自信を取り戻してくれて、本当に良かった。
明日始発の飛行機で帰るため、空港近くのホテルに戻らなければならない。
名残惜しそうに玄関に向かうひろくんの姿を見て、私はずっと考えていたことを提案した。
「あのさ…初売り二日からだから、元日は休みなんだけど…。マリカに会うために、東京行ってもいいかな?」
「…え…」
「早く、親子三人揃って笑ってるとこ…見たいし」
「俺は…もちろん嬉しい。けど、エリカの負担にならない?」
「全然平気。三十一日仕事終わったら行くから。夜、東京駅に迎えに来てくれる?」
「わかった」
寧々と離れるのは正直言ってものすごく寂しい。
でも早く慣れなきゃ。
…私はもう、ひとりなんだから。