ウソつきより愛をこめて
「教えってってお前…確か三年前だよな?お前が橘と付き合いだしたの」
「そうですけど…」
言っていないはずのプライベートなことを知られていて、顔が赤くなる。
本当に橘マネージャーが、平泉マネージャーに報告してたってこと…?
一体…何のために…。
「その頃からだろ。ほら、橘が変な女に付き纏われてたのは。自宅の郵便物持ち出されたり、変なメール何通も送られてきたり…」
「……それって」
「ストーカーって言うんだろ。そういうの。まぁ規制法も施行されてるみてぇだし、立派な犯罪だよな」
衝撃のあまり一瞬何も考えられなくなった。
ストーカーなんて…そんな話…ただの一度も聞いたことがない。
「橘も必死だったよな。最初は相手が誰か分からなかったみたいだから、下手に動けなくて、ずっと証拠集めてたみたいだし。…そのせいでお前に会えなくて、一日中ぼやいてた時もあったぞ」
頭の中にあった疑問が、パズルみたいに繋ぎ合わさっていく。
呆然とする私を、平泉マネージャーが神妙な面持ちでじっと見据えていた。
「…本当に、知らないのか?」
「知り、ません…」
「参ったな。橘の奴、何考えてんだ」
「…教えてください、お願いします…!」
最後に見た目尻の赤い橘マネージャーの顔に、胸が締めつけられる。
鬼気迫るような私の勢いに押され、平泉マネージャーはゆっくりと頷いてくれた。
「教えるのは、俺が橘に聞いたことだけだぞ」
「なんでも構いません。…今聞かないと私、きっとすごく後悔する気がして…」