ウソつきより愛をこめて
「お前が仙台行った後はやばかったな。かなり落ち込んで、日を追うごとに廃れていって、社内一の色男が台無しだったぞ」
「私が…彼のそばにいるのが辛くて、逃げ出してしまったんです」
「でもあいつ、俺には遠距離してるんだって言い張ってたんだぞ。いつか必ず、迎えに行くって宣言してくるし。クールぶってるだけで、以外に暑苦しい奴だよな」
もう涙を止めることなんて出来なかった。
私は嘘ばかりついていたのに、彼はいつだって本気の言葉を与えてくれていたんだ。
それを疑って、蔑ろにして。
どれだけ、傷つけてしまったんだろう。
私はなんて、取り返しのつかないことをしてしまったんだろう。
…橘マネージャーはいつだって、私のことだけを思ってくれていたのに。
「ちなみにな。あいつ結城に会いたくてたまらなくて、十二月のヘルプの件も自分で打診してきたんだぞ。ったく公私混同しやがって…まぁ俺もあいつが2年間どれだけ頑張ってきたか知ってるから、今回は大目に見てやったんだけどな」
私の知らなかった彼の一面を知る度、愛しさがこみ上げてくる。
…会いたい。
今すぐ、彼に会いたい。
「平泉マネージャー、色々教えてくれてありがとうございました」
「…ああ。今度は、二人で俺のとこ顔見せに来いよ」
「失礼します…!」
涙を拭って、今度は私が彼を追いかける。
私の足は、今ようやく前に向かって走り出していた。