ウソつきより愛をこめて
求めてやまなかったその言葉を聞いた瞬間、全身に鳥肌が立った。
骨が軋みそうなくらい強く抱きしめられたせいで、翔太への愛しさがもっともっとこみ上げてくる。
「…翔太。わたしも、大事な話がある…」
「……」
なんで、身体だけの存在だなんて思ってしまったんだろう。
翔太は最初から、私のことをこんなに深く愛してくれていたのに。
…今度こそちゃんと伝える。
私たちの間に、嘘はもう必要ない。
「…本当は、……寧々はね……、私の子じゃないの」
「…はっ…!?」
そんなこと今まで疑いもしなかったのか、翔太は大げさなくらい驚いている。
そのまますごい勢いで私の両肩を掴み、至近距離から顔を覗き込んでいた。
「エリカ、一体何を言って…」
「…言ってなかったけど、私には双子の妹がいて…ひろくんはその旦那さんで、寧々はその二人の子供。…わけあって、今までずっと預かってた」
私の突然の告白に、翔太は困惑した表情を浮かべている。
「…ずっと黙ってて…本当にごめん。2年前もこの間のクリスマスも…全部私が悪いの。子供がいるって寧々を使ってまで嘘をついたのは…本当にくだらない、私の意地せいなの」
頭を下げた私の瞳に涙が溜まって、足元のコンクリートに覆われた視界がどんどんぼやけていく。
「嬉しかった…寧々を、本当に私の子供だって思って愛してくれたこと」
おかげで自分がどれだけ大切に思われていたか、今、身を持って実感することができた。
「翔太が私のために選んでくれた指輪も、いらないなんて言って、本当にごめん…っ」
本当は嬉しくて仕方なかった。
私が結婚したいと思えるのは、後にも先にも翔太だけだから。
「…私も、ずっとずっと、翔太が好きだった。二年前のあの日から、思い出さなかった日なんて一度もなかった」