ウソつきより愛をこめて
なんで怒ってないの?
そんな簡単に許していいものなの?
ねぇ翔太…こんなの、いくらなんでも甘やかしすぎだよ。
「返事は?」
「…だって…」
「俺は初めから、お前にプロポーズするつもりで仙台に行ったんだ」
「…え…?」
「寧々のことは…驚いたけど嬉しい誤算だった。おかげで、お前に再会して早めに自分の気持ちを切り出せた。まぁ結果的には、随分遠回りしたけどな」
「後からそんなこと言うの狡い…」
「狡いも何もそれが真実だ。俺はお前が欲しいから結婚する。だから嘘つきだろうがなんだろうが、どんなお前でも全部受け入れてやる」
「……」
「どうするんだ?結婚するのか、しないのか」
「…る」
「ああ?」
「したいです!よろしくお願いします!」
急かされて90度にお辞儀してしまった私を見て、翔太は必死で笑いをこらえている。
非現実的すぎて、なんだか今の状況がよくわからない。
「…やっとこれで、俺のものになったな」
耳元でそう囁かれた私は、意地悪そうに笑う翔太の胸に今度は自分から飛び込んでいた。