ウソつきより愛をこめて
「な、なに…?」
いつの間にか翔太の胸にもたれかかっている姿勢にされていて、私は慌てて身体を離そうと試みる。
でも全然力を弱めてくれなくて、それも無駄なあがきに終わってしまった。
「なんかお前、物欲しそうな顔してる」
「そんな顔してな…」
翔太が私の隙を突いて顎を持ち上げ、端正な顔を近づけてくる。
いきなり恋人の雰囲気に持ち込まれても、私は翔太みたいに気持ちを簡単に切り替える事ができない。
必死で押し返した指の先には、翔太の形のいい唇が当たって、そのあまりにも柔らかい感触に私は目眩を覚えていた。
「…ひゃっ…」
そのまま指を食まれて、思わず悲鳴のような声をあげる。
キスを拒んだ私をいたぶるように、翔太は私の指を舌で舐めたり軽く吸ったりして弄んでいた。
その光景はあまりにも扇情的で、全てを忘れてしまいそうになる。
背中を這い上がってきた快感に、思わず身悶えしてしまった。
「ま、待ってやめて。まだ…私に話すこと…たくさんあるでしょ」
「そんなの後でいい」
「よ、くない。もう…私、隠し事はされたくない」
ようやく指を開放してくれた翔太が、諦めたようにため息をついて視線を横に流していく。
それでも手は離してくれず、私の指と自分の指を交互に絡めていた。
「お前を巻き込んで悪いと思ってる。エリカと奈良橋が直接会ったって聞いて、俺は死ぬほど後悔した」