ウソつきより愛をこめて
「よりによって、なんでそんな嘘をつくわけ…」
美月は額を手で押さえながら、深いため息をつきがっくりと肩を落としていた。
「それは…ちょっとした出来心っていうか…。だって悔しくない?私が男を信じられなくなったの、あの人のせいなのに」
「要するに子供がいること自慢したかったわけね」
膝を抱えて体育座りの格好をとりながら、私はうんうんと頷く。
よくよく考えてみれば、寧々にとっての母親が今は私なわけだし。
あの子のいる目の前で本当のことなんて言えるわけがない。
「それで?エリカはなんて返事したの?」
「受けるわけないじゃん。もちろん丁重にお断りしましたー」
「…バカだ」
「ほんとバカだよねー。寧々と全然顔似てない癖に。まあ、あんな可愛い子の父親にどうしてもなりたいって気持ちはわからないでもないですけど」
「いやいや、私はエリカに対して言ったの!」
「は…っ!?私のどの辺りがバカなのよ」
「普通に考えて二年も前に別れた恋人に、いきなりプロポーズとかしないから!」