ウソつきより愛をこめて

***

(……最悪……)

脇に挟んだ体温計を乱雑に放り投げて、枕に沈み込むように顔を埋める。

首から上が重くて怠くて、極力動かしたくない。

さっき見たデジタル表示は結構高めの三十八度五分を指していて、自分でもちょっと引いた。


「ねぇ寧々、そろそろ起きよ…」

隣でまだ眠り続けている寧々の肩に手を伸ばし、必死でゆさゆさと揺り動かす。

今日は私の仕事が休みだったから、十一時時過ぎまで二人で朝寝坊してしまった。

「…ん~、ママぁ…?」

まだ寝ぼけているのか、寧々は目を瞑ったまま両手を伸ばして私を探している。

いつもならデレデレでここに居るよと教えてあげるけど、今朝は全くそんなことをする余裕がなかった。

お腹減ったよね…。

オムツも替えてないから、気持ち悪いだろうし。

とにかく寧々を着替えさせて、なんでもいいからご飯を食べさせなくちゃ…。

どうやら昨日お風呂上がりに薄着で騒いでいたせいで、しっかり風邪をひいてしまったらしい。

散々忠告してくれた美月の呆れる顔が、頭に浮かんでくる。

起き上がろうと思ってベッドから降りた瞬間、私はよろよろと床に手をついてそのまま動けなくなってしまった。

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