ウソつきより愛をこめて
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「ねぇエリカ、今日のゆりちゃんの様子わかってるよね?…ちょっとヤバくない。大丈夫?」
「うん。ちゃんとわかってるつもり」
「セールの準備、今夜の閉店後でしょ?私、一時間くらい裏で残って作業していこうか?」
「平気平気。いいから早く帰りなよ。今日デートなんでしょ」
「え、あ、わかっちゃった…?ごめんねー、なんか私だけ幸せの絶頂で」
「初めから残る気ないだろ。むしろ閉店までやってけ」
「…えっ、やっぱりそうなる?」
「冗談だよ。私の顔が笑ってるうちに帰りな」
週末の合コンでめでたく彼氏をゲットした美月を、私は笑顔で店から送り出す。
クリスマスも年末年始も仕事漬けになるだろうから、会えるうちに思いっきりデートでもなんでも楽しんでおいたほうがいい。
…それが付き合いたてならなおさらだ。
「4番戻りましたぁ」
「あっ、はーい…」
今日の遅番は、ゆりちゃんと私の二人きり。
必然的に明日から始まる早期クリアランスセールの準備も、二人で担当することになる。
こんな日に限って、橘マネージャーは近隣店舗の巡回日で。
彼に会えないせいなのか、ゆりちゃんのやる気は一段となく、接客態度にまでその不機嫌さが滲み出ていた。
(何事もなく、終わればいいんだけど…)
保育時間の延長は、遅くとも二十二時まで。
寧々の負担を考えれば、今日の閉店作業は出来るだけスムーズにこなしたいところだった。