アヤカシたちのお妃候補は人間の女の子でした
平安チックな青年は、私のことを頭からつま先まで舐めるように見回した。
ちょっと、気持ち悪い……。さっきの少年とは違う深海を思わせるような深い青の切れ長な瞳に、高い鼻。
それと薄い唇。顔はかっこいいにはかっこいいんだけど、そんなに全身を見回されるとちょっと嫌だ。
青年はやっと視線を逸らすと、口元を歪ませて私の顎を掴んだ。
「なるほど……我が妻として相応しいな。ただ……」
彼は私の胸元に視線を置いて、ため息を吐く。
もしかして、これはあれか? 私が貧乳だから、がっかりしているのか??
だとしたら最低だ。ヒトが一番気にしていることを……。
にやりと微笑む彼に、私は円満の笑みを浮かべた。
彼はそれを見て私の腰を抱き寄せ、口付けしようとする。
……よし。引っかかった。
「さいってー」
そう言って、お腹を蹴ってやった。
すると後方へ飛んでいき、呻き声が聞こえてくる。
それと同時に、笑い声も。
声からするとおそらく、さっきの少年。友也……とかいったかな。
「大丈夫ですか? ……全く。初対面の女性に失礼過ぎるんですよ」