アヤカシたちのお妃候補は人間の女の子でした
次は、あの侍。うん、侍さん。
でも、思っていたより顔は整っている。
この人は焔を思わせる緋色で、切れ長の瞳。
というかさっきの平安チックな人にどことなく似てる。
なんていうか、二人とも神秘的なオーラを放っている感じだな。
……やっぱり人間らしくない。白い血の気のない顔をしてるし。
あれ。気付けばなんか侍さんが近づいてきている。
「大変申し訳ありません。亜美様」
頭を下げて謝ってくる彼。え……なんで、謝っているの。
不思議でならなかった。確かにあの平安チックな人は失礼だったけど……。
この人はなんにも悪くないのに。
しかも、気になることが一つ。なんで私の名前を知っているの?
「あの……顔をあげてください」
彼はゆっくりと顔を上げた。
凛とした、いかにも武士らしい顔立ち。
しかもきちんと着物を着こなしている。
それだけでわかってしまう。礼儀正しいということが。
「……私は、晴彰といいます」
「あのー、あなたたちは何方ですか」
恐る恐るたずねると晴彰と名乗った男が私に目線を合わせるように膝を曲げた。
そんな行動を見て、今気づいた。彼は背が高いことに。
私だって、165㎝と一応高い方だけど、この人は180㎝近くありそう。
さっきの平安チックな変態さんも、175くらいはあるだろう。
でも、友也さんとかいう人は160㎝くらいかな。
というか、そんなのどうだっていい。
「私たちは、あなたを迎えに来たのです」