アヤカシたちのお妃候補は人間の女の子でした
迎えに来た……? なにを言っているの。
だいたい、怪しすぎるし、不法侵入してるし。
その上、人を誘拐しようだなんて。
しかも変なコスプレしてるし!
「ちょっと待ってください! あの……説明していただけますか」
「申し遅れた。私たちはアヤカシの世界から参ったのだ。私の名は彰。そしてそなたが妃候補となる女……中野亜美であろう」
さっきも気になったけど、やっぱりこの人たちは私の名前を知っている。
というかお妃候補とか、我が妻とか……意味が分からないのですが。
なんですか。もしかして頭がイっちゃてる感じですか。
それともホントにアヤカシなのか。いや、それは絶対にないと信じたい。
でも、私はそこでおかしなことに気付く。
何故彼らは窓から、それも強風とともに入ってきたのか。
普通の人間にはとてもできる技ではない。
超能力者か、あるいは物の怪、アヤカシ、幽霊とかの類だと思う。
つまり、彼らは本当に……。
「アヤカシ……なの……?」
彰さんがゆっくり頷いた。
やっぱりそうなんだ。じゃあ、なんでそんなアヤカシたちが私を迎えにくるんだろう。
しかもアヤカシといえば異形のものじゃなかったかな。
見た目は人間と変わらない、いや、それに勝る美しさを持っている。
女の私よりみんな美人だなんて、悔しい!
「ところで我が妻、亜美よ。そろそろ行くぞ」
「え、どこにですか?」
私は彰さんに腕を引かれ、腰を抱き寄せられた。
なにをするんだこの人は。変態か? 変態なのか?
「異世界だ。アヤカシの住む世界」