「じゃあ、結婚しようか」
陽平さんの車は、マニュアル車だ。


左手でギアを入れ替える度に、かっこよく見えてどきどきした。


ギアの上に置かれたままの手を見る度に、ほんと素敵でどきどきした。


だけど今は、何の感情もないの。


その手で、陽平さんは彼女に触れていたのだろう。
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