「じゃあ、結婚しようか」
私は弱音など吐きたくなかった。


陽平さんのことは、もうこころの外へ追いやってしまいたかった。


だから、彼が来るであろう21時半の時も、ただ闇雲にドリンク補充をして、決してバックルームの中から陽平さんの姿を見ようとはしなかった。


バイトがあがる時間になり、私は周りを警戒しながらお店を出た。


そこに、陽平さんの姿はなかった。
< 347 / 395 >

この作品をシェア

pagetop