ただ守りたかった居場所
 月曜日、いつもと同じように出勤し、土曜日飲んだことなどなかったかのように、午前中仕事をして過ぎていった。



 お昼になり、なんとなくお互い家に何時ごろ着いたかと、土曜日の話しになっていた。



 私は、当初の目的が、佐藤君に友達を紹介することだったことを思い出し、佐々木に、
 


  「佐藤君、楽しかったって言ってた?」


            と聞いた。




  「楽しかったって言ってたよ。


   カラオケ行く途中でも、談話番号聞こうかなって言ってたし。」



  「友達聞かれてないよ。


   何も言ってなかったし。」


            などと会話をして、佐々木こそ急遽、付き合いで参加してくれたから、楽しんでくれたか心配だったので、 
 


  「佐々木さんは楽しかった?」


            と聞いてみた。




  「楽しかったですよ。


   相馬さんのことも知ることが出来たし。」


   
            という返事が返ってきた。



 その一言がすごくうれしかった。



 佐々木に気が少しでもあったら、勘違いしそうだったし、少し恥ずかしいセリフを何も考えず言えてしまう人なんだと感じた。



 他にも、
 

  「相馬さんは絶対に異動させません。」
 



  「俺は相馬さんの味方です。」
 



  「相馬さんのわがままに付き合えるのは俺だけです。


   俺とじゃなきゃ駄目なんです。」


 
            など、どう返事をしたら良いのか困ってしまうような言葉を他にも沢山今までに言われた。




 徐々に私が思っていた佐々木のイメージが変わった。



 無口な人なんだろうなと思っていたが、ただ人見知りなだけで、慣れてくれば普通に話をする人だった。



 私は話をすることが嫌いではなかったので、時間がたつにつれ、周りから見れば、どのチームよりも仲のいいチームと言われるようになっていたし、私達二人が話していて用事があって話しかけてくる人達が、申し訳なさそうにしていた。
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