ただ守りたかった居場所
ビアマウントは、平日にもかかわらず混んでいて、初めは眺めの良い席を確保することが出来なかったが、佐藤君が途中で、席を捜しに行ってくれて、最高の眺めの席を確保してくれた。




私達はすぐに移動し、景色を楽しんだ。



そして今回も結局、佐藤君と話をほとんどしなかった。



初めは佐々木と一人間に挟んで座ったので、佐藤君と話が沢山出来るだろうと思っていたが、どうしてか?佐々木と話をしていた。



席を移動したらしたで、佐々木の隣に座り、結局佐々木と話をしていた。
 



友達には後日、
 

「私達二人の間に、入っていけないよ。」


などと冷やかされたりもした。



あっという間の二時間が過ぎ、帰りのケーブルカーを待つ間、佐々木はまた、勘違いをしてしまうような発言を、みんなの前で何も考えずにしていた。
 



「相馬さん、二日前くらいから、マネキュアの色オレンジですね。」
 



『細かいところまで見ていないでほしい。』


と、特に気にも留めなかったことを言われたり、
 


「相馬さんの扱いは、俺に任せてください。仕様書だって作れますよ。」


など、周りが聞いていても恥ずかしいようなことを言っていた。

 


「帰りの電車でも、二人の世界に入っていたよ。」


と、またまた友達に指摘された。
 



『私達は何も意識しないで、普段と同じなのに・・・どうしてだろう?』


とつい考えてしまうが、答えは出ない。
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