ただ守りたかった居場所
次の日、出勤すると団扇が机の上にあった。



昨日私が、貰ってなんだかんだと佐々木に奪われたものだった。
 


「あげますよ。」


と横から声がした。
 


「もう、いらないです。」


と言いながら、結局、返すことも出来ず、いまだに私の机のオブジェとなっている。
 


二回、五人で飲んで、


『毎月一回定期的に飲み会するのもいいな。


もちろん佐藤君と山本はくっついてもらって。』


などと思っていた。



その時は、ただ楽しい時間を過ごしたかった。





第三回目の飲み会の前に、二回ほど会社の人達数人と飲んだ。



当たり前のように、佐々木も一緒に・・・



その二回の飲み会でも佐々木と私の事を突っ込まれた。



気が付くと、私達二人は、同じタイミングで同じ料理を食べていることが多く、それに対し、一緒に飲んでいた人が気づき、


「すごいよね、同じタイミングで何度も同じ物をなかなか食べないよ。


通じ合ってるんだね。」


と言われたり、私に対する質問に、



「相馬さんはですね・・・」


と私が答えるよりも早く、返事をしたり、



「二人仲良いよね。」


と人に言われ、私は、


「仲悪いですよ。」


と答えると、



「仲良いです!」


と佐々木が答えるというパターンも出来ていた。
 


私達はどんどんお互いの事を知り、仲良くなっていた。



そして私の気持ちに少しずつ、一緒にいたい気持ちが出てきたが、まだ人に言えるほど確信は出来なかった。



飲み会以外にも変化があった。


私が会社に入って、約半年目にして、佐々木のメールアドレスを知った。
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