ただ守りたかった居場所
佐々木は、佐藤君が私と佐々木に一緒にメールを出したときに私のメールアドレスを知ったが、私は携帯電話が古かったので佐々木のアドレスを知ることはなかった。



 毎日顔を合わせているのでメールする必要も特になかったので、私は佐々木のメールアドレスを特に知りたいとも思わなかった。




 夏休みの前日、明日から初めて一週間佐々木と顔を合わせないと思うと少し寂しくてつい、


  「私に会えなくて寂しいからって、メールしないでくださいね。」


           など、佐々木に憎まれ口を言ってしまったりしたが、そんな私に、佐々木は、



  「します。絶対にメールします。それも相馬さんの誕生日に。」


           と言ってきた。




 私は正直、今は、何度も誕生日の日ちにを言ったから覚えているかもしれないけど、休みに入ったら忘れるなと思っていた。



 しかし、佐々木は忘れなかった。



 誕生日に私が友達とご飯を食べていたとき、メールが来た。



 【誕生日おめでとうございます。ついに三十歳になってしまいましたね。


  まぁ、長い人生気楽やりましょう】


          というメールだった。



 佐々木が私の年齢を知らないとずっと思っていたので、知っていてずっと隠していたことに腹が立つよりも、性格悪いなって感じた。



 でも、そこが佐々木らしさかもしれないと思った。



 年齢を知られてたのはショックだったけど、誕生日を覚えていてくれて、メールをくれたことが私はすごくうれしく、宝物にしようと密かに思ってしまった。



 でも、そのメールも今はもう消去されて残っていない。



 お互いメールアドレスを知っても、毎日、一日中、隣にいるので、メールをすることは月に一度くらいだった。



 それで満足だったのに・・・
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