ただ守りたかった居場所
買い物を済ませ、佐藤君の家に着いたら、六時半だった。



それから、作り出すと八時過ぎるかもとみんなが思いながら、作り始めたら、七時半前には食べることができ、男二人は女連中の手際の良さに驚いていた。



たぶん私達は料理することに慣れていたので、何も言わなくても役割分担が自然と出来て、無駄な動きがないんだと、我ながら褒めたい。



鍋を作りながら、私は肉団子を餃子の皮で包むことにして、男二人と三人で包んでいた。



この時も、またまた二人の世界が出来ていたと後から、友達に言われた。



確かに、ずっとこんな風に、和気藹々と過ごせていけたら良いなと思い始めていた。



もう、この時点で、佐々木のことを好きになっていたのかもしれない。



鍋も美味しくて、お腹いっぱい食べ、佐藤君の家はまったりできる空間だったので、それぞれが気ままに過ごしていたら、あっという間に時間が過ぎ、十一時近くになっていた。



次の日もみんな仕事だったので、慌てて帰った。



佐藤君の家にお邪魔して、本当は佐々木の家にも遊びに行きたかったが、素直になれない自分がいて、佐々木に遊びに行きたいと言えなかった。




それでも、居酒屋さんと違い、誰かの家でご飯を食べることによって、一段と五人の距離は縮まった気がする。





年末には会社で席替えがあり、今まで佐々木の隣だったのに、少し遠くの席に私は移動することになった。



席が離れたことにより、会話することがほとんどなくなった。



それでも用事があってお互いの席に行くと、ながながと話したり昼休みに血圧を測るという年寄り臭いことをしていたので、毎日血圧を私の席に測りに来るたびに、最低でも五分くらい、長いときになると、昼休み終わっても話していたりしたので、席が離れて寂しいけど、離れたら離れたで新鮮で良いかもと思った。
< 23 / 46 >

この作品をシェア

pagetop