ただ守りたかった居場所
駅までの帰りに、友達は佐々木に、



「相馬のこと、仕事の優先順位が下のほうだからって、最近放置状態なんだって、相手にしてあげてね。」


と、言ったらしく、それに対して、



「そうなんですよね、いじけるんですよ。」


と、佐々木は返事をしたらしい。




確かに、私も先日、佐々木にいじけていることを伝えたけど、特に変化もなかったし、佐々木が、いじけていることをどう思ったか知りたかったから、友達が言ってくれたことはうれしかったけど、どう思っているのかは聞けなく、残念だった。




それでも、鍋の帰り、女二人と男二人は使う電車が違ったので、駅が少し離れていて、男二人が使う駅のほうが、手前にあったので、いつもの佐々木なら、女二人を送ったりしなかったが、テンションが上がっていたのか、佐々木から、



「駅まで送ります。」



と言って、遠回りにもかかわらず、進んで送ってくれたらしい。




そして、いつもは佐藤君が言う言葉、




「じゃぁ、また飲みましょう。」


を、言ってきたことに、友達は驚いていた。




そんなことがあると、


『みゃくがあるかも』


と、思ってしまいそうになるが、私は、人から


「好き」


と言われたことが、ほとんどなく、恋愛に関して自信が人一倍なかったので、


『みゃくなんかないだろうな。可能性が少しでもあったら、もう答えが出てるよ』


と思ってしまった。




楽しかった今までが、これから起こる出来事で、全て哀しい思い出になってしまったけど・・・
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