ただ守りたかった居場所
鍋が行われた週の金曜日、会議で仕事にゆとりがあるうちのチームから、1人忙しいチームに異動することになり、安部が異動することになった。



入社して二週間、やっとチームに慣れてきたときの異動だった。



会議では、私の名前も出たらしいが、佐々木が阻止してくれたらしい。それは正直にうれしかったので、




「異動したかったですか?」と、佐々木に言われたとき、




「嫌だ。」と、珍しく私が即答した。



「異動を阻止した俺は偉い。」


とか、佐々木が冗談で言ったとき、私は心の中で、


『偉い』と褒めていた。




でも、今から考えると、異動したほうがよかったのか、悩んでしまう。



 
  「歓迎会もしていないのに、異動なんて嫌です。お別れ会してくれませんかね。」


         と安部に言われ、


  「佐々木さんに頼めばしてくれるんじゃない。」


         と、私は返事をした。



  「私からは言えませんよ。」と安部が言うので、



  「私が言っておいてあげるよ。」と返事をして、私は、




  「安部さんが、お別れ会してほしいって言ってますよ。」と佐々木に伝えた。



 今は、こんな事、言わなきゃよかったと、後悔している。




 佐々木はすぐに、チームメイトの予定を聞き、私達が話して30分後には、日ちにが来週の水曜日に決まった。



 メンバーは当たり前だが、チーム5人と私が仲良くしていた女の人1人で、6人で決まった。



 お店は、佐々木に、


  「何処がいいですかねぇ?」


          と相談され、たまたま割引券を持っていたお店の名前を言ったら、



  「俺、そこに行きたかったんです。」



          と、私達2人の意見ですぐに決まった。

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