ただ守りたかった居場所
会社ではどうにか平常心を保てたが、家に着いて玄関を入った途端、私は泣き崩れてしまった。



今までは玄関で泣くほど、胸が痛んだことがなかったので、佐々木のことが、もう好きで好きでたまらなくなっている自分自身が、可愛そうに感じた。



それは、これからもっと辛くなるような気がしたからだ。




なかなか涙は止まらなかったが、誰かに救いを求めたくて、山本と前田にメールした。




【まだ、付き合うって決まったわけじゃないんだから、焦っちゃ駄目だよ。】



と返事が返ってきた。それでも、もう私は可能性が無いといわれている様で、涙が止まらなかった。



その日の9時過ぎに、安部からメールが来た。



【佐々木さんの家の近くの焼肉屋さんでご飯食べて、駅まで送ってもらって、今帰りです。】




明日、報告受けるんだろうなと思い、頭の中でいろんな想像が駆け巡り、止まっていた涙が再び流れ出した。
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