ただ守りたかった居場所
 返事は夜の11時に来た。



  【俺の気持ちは、安部さんのほうに向いているので、相馬さんの気持ちには答えられません、ごめんなさい。


   来週から今まで通りです。よろしくお願いします。】




 解っていた返事だった。



 それでも、私の胸のつかえは取れたはずだった。



 その時は確かに取れていた。



 一年間ゆっくりと近づけてきた距離は、あっという間に奪われたことを実感した。



 月曜日に仕事に行くのが、すごく嫌だった。



 でも、休んだらもうずっと行けなくなると思い頑張って出勤した。



 午前中は、佐々木と会話をすることはなかった。



 でも、昼休み佐々木はいつものように、私の席に血圧を測りに来た。



 メールで約束したように、私達は変わらない態度で過ごした。



 それでも一週間は、違和感を感じた。



 一週間たって、前のように戻れたと感じたが、やっぱり私は、少し佐々木を避けてしまう。



 周りは解らないだろうが、私達の距離は少しずつ離れていくのを感じる。



 そして、私は佐々木と距離を感じるようになって、この会社で居場所がなくなったことと、佐々木と安部が一緒に話をしている姿を見て過ごす事が出来ないことを感じ、会社を辞めることを決意した。



 仕事も後、二ヶ月もすれば、ゆとりが出来るので、二ヶ月我慢して辞める事にした。



 それまでの間、私の心の傷は増え続け、やっと辞める時には、限界だった。
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