ただ守りたかった居場所
 佐々木と安部は、出会ってから約一ヵ月半後には、付き合いだした。



 出会ってから二ヶ月を過ぎた頃には、一緒に暮らし始めた。



  「一緒に暮し始めてどう?」


              と安部に聞くと、



  「部屋が狭いので、二週間で家に帰りたいです。


   1人の時間が欲しくて。


   たまに実家に帰ってるんですけどね。


   佐々木さんは普通の人ですよ。」


              と言っていた。




  『普通なのは知っているよ。


   もっと違う言い方を私はしてほしかったし、いちいち報告されたり会社で写真を飾るのは止めてほしい。』


              と、本当は言いたかった。



 つい私は、彼女の行動が気になってしまい、見てしまうとどんどん安部のことが嫌いになっていき、安部を選んだ佐々木が、カッコ悪くなるのが不安になる。



 やっぱり、好きになった人だから、魅力的な男になってほしい。



 安部は、ほぼ毎日、午前午後と熟睡をしていたり、男と女の前では態度が違う。



 特に佐々木と仲のよい私に対しては、佐々木とののろけ話以外、話をしてこない。



 それにアイドルになるためにずっと続けていたパラパラを、最近楽しくないからと、簡単に辞めてしまった。



 ずっと頑張ってきたはずの夢を簡単に辞めてしまえるのって、人として魅力があるのか?疑問に思ってしまう。



 でも、佐々木が好きになってしまったんだからしょうがないと、言い聞かせている。



 でも、安部を嫌いになればなるほど、


  『どうしてこんな子?もう私のところには戻ってこないの?』


               などと思ってしまい、私は心に傷を自分で作ってしまう。



 今は、もう無理なのに。これからも・・・



 ただ佐々木には、好い男でいて欲しい。さようなら。
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