bitter・princess ー短編ー
家を飛び出したあたしは、行く宛てもなく、街を彷徨った。
時計を見ると、時間は夜の8時。
もう辺りは真っ暗だった。
春馬に…言いすぎちゃったな。
…あたしだって、小さい頃は、恋に憧れていた。
お母さんに、よく
『お母さんは小学校6年のとき、高校2年だったお父さんと知り合って、付き合ったんだよ』
って聞かされてたから。
あたしも、そんな素敵な恋がしたい、とよく思ったものだ。
けれど、中学校2年のとき
あたしの恋への憧れは
音を立てて崩れることになる。
――…それは、中学2年の夏だった――