bitter・princess ー短編ー
だから、あたしは汚れてる。
春馬の言う通り、本当に好きな人と以外は
やっちゃいけないことなんだ。
わかってる。
わかってるよ。
でも、心が着いていかない。
あたしも…お父さんとお母さんみたく
素敵な恋がしたかったな…。
もう、手遅れか―…。
「速音ちゃん?何してんの?」
「えっ?あ…里都おじさん」
あたしの名を呼んだのは、春馬の父、里都おじさんだった。
「こんな時間にこんなとこいたら速音ちゃんみたいな美人は変なオジサンに買われちゃうよ」
おじさんは、にっこり笑って言った。
親子なのに、どうよこの違い。
「さ、帰ろっか?速人たちが心配するよ」
そう言われ、あたしはおじさんと一緒に家路に着いた。
「速音ぇ〜!!もうっ、心配したじゃないのぉ!!」
家に帰ると、お母さんが半泣きで抱きついてきた。
「ご、ごめんね。お母さん」
「速人も咲哉も、心配してたのよぉ。ハルくんも心配して、探そうとまでしてくれたのよ」