bitter・princess ー短編ー
Third love
そう言ったお母さんの後ろには

お兄ちゃんと一緒に、テレビを見ている、春馬がいた。

「いやー、ごめんね。速人、咲綺ちゃんも。ウチのハルがお邪魔しちゃって」

「別に。こっちこそ、速音を連れてきてくれてありがとな。あ、晩飯食ってく?ハルは食うっつってるけど」

お父さんは、親指の先をくいっと春馬に向け、言った。


「いや。俺はいいよ。由衣ちゃんが家で待ってっから。じゃあ、ハルのこと、頼むわ」

そう言って、おじさんは、帰っていった。


あたしは黙って二階に上がった。

息苦しかった。

春馬と、同じ空間にいるってことが。


部屋に籠もっていると

コンコン―

と、誰かがドアをノックした。


「誰…?」

「俺ぇ。咲哉。速音、入っていいか?」


あたしは、ドアを開けた。

「ごめん」

部屋に入るなり

お兄ちゃんは、急に頭を下げてきた。


「え?何、急に…」

「俺、春馬に話したんだ。お前が誰とでもヤる理由…」


そう言って、お兄ちゃんは、唇を噛んだ。


「春馬は、どう思ったかわからない。けど…何か、春馬にはちゃんとお前のことわかっててほしくて」
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