bitter・princess ー短編ー


どうやって、授業を受けたのか、覚えていない。


気が付くと、家の前に突っ立っていた。



見知らぬ女の子と

キスをする春馬を見つめたまま。




―ほら。

やっぱり…。


あたしなんか

ただの幼なじみだったの。


春馬だって、彼女くらいいる。




あたしは、何を期待してたんだろう?


馬鹿みたい…―。



「…!! …は、速音…!!」

あたしに気付いた春馬は

慌てて彼女を突き放した。


…こんなときまで

気ぃ遣わないでよ…。


あたし、すっごい惨めじゃん。


「や…今のは違…」

「やるじゃん、春馬!!さすが…モテ男くんは違うね」

春馬が何かを言い掛けたのを遮って

引きつった笑顔で言うと、あたしは、逃げるようにその場を去った。


あたし、つくづく惨めな奴。




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