bitter・princess ー短編ー
気が付くと、大地の家の前に来ていた。

ピンポーン…

チャイムを押してすぐ、玄関の戸が開いた。


「あれっ!速音ちゃん。どした?制服のまんまで」

大地は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして、あたしの前に立った。

「……」


あたしは俯いたまま、大地の問いには答えなかった。

「…取り敢えず…上がって?」

大地に促され、あたしは大地の家の中に入った。


そのまま、大地の部屋に通され、適当な所に座った。


微かに香水の匂いがする大地の部屋。

鼻を突くようなキツイ臭い。


甘い香のする春馬の部屋とは大違い。

大地は、あたしの前に座った。


「も…う…どーでもいいやぁ…」

あたしは大地の体にもたれかかった。

「え、え…!? 速音ちゃん!?どーしたの?!」


「もう…黙ってよ。
大地くん、あたしを好きにしていいよ」




もう、どうなってもいい。


大地は、一呼吸置いた後

貪るように愛撫した。



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