bitter・princess ー短編ー
「速音…? なんで…泣いてんだよ?」

あたしの涙に気付いた春馬は、動きを止めた。


「何で…泣くんだよ?
俺が嫌なら、抱いてなんて言うなよ…」


「ち、違う…あたし…だって
春…春馬が……好きなんだも…っ…ん」




シーツで顔を隠し、蚊の鳴くような声で、言った。


春馬は、そっとシーツを外し、優しくキスをしてくれた。

「え…」

「何だよそれ…。
もっと早く言えよ。
俺が…どんだけおまえに片思いしてたと思ってんだよ。
つーか、お前にキスされたときだって、心臓バクハツするかと思ったし。
今だって全然余裕ねぇしよぉ…」


前髪をグシャッと掴み、ため息混じりに言う春馬。


「え…春馬…」

「そーだよ。お前が、キスも、せ……セックス…も
全部初めてなんだよ」





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