bitter・princess ー短編ー
大地はTシャツを着て

乱れた髪を手櫛で直すと、あたしを抱き寄せて、キスをした。


「次、いつならいい?」

あたしは、携帯のスケジュール機能を起動させ

「明後日かな。それが無理なら日曜」

と答えた。

「今んとこどっちも予定なし」

大地はにかっと笑った。


大地が帰ったあと、シャワーを浴びようと思ったあたしは

シャンプーがきれているのに気が付いた。


「コンビニ行くか」


ぼそっと呟き、玄関の戸を開けると

大きな影が、あたしに覆い被さった。


はて?今日は曇りだったっけか?

あたしは顔を上げた。

「げっ」

あたしの目に映る、見慣れた整った顔。

「げってなんだよ。おい」

その生意気な男は、目を逸らして通り過ぎようとしたあたしの手を掴んだ。

「離してよ、春馬!」

戸田春馬…

あたしがこの世で一番嫌う男だ。
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