bitter・princess ー短編ー
春馬は強い力であたしの腕を離そうとはしなかった。

あたしは、きつく春馬を睨み

腕を上下に降った。


「離してよ!あたし用事があんの」

見上げたあたしを、偉そうに見下し、ふっと笑う春馬。

「何よ」

「どーせ大した用事じゃねーだろ?」

人を小馬鹿にしたような、春馬の台詞。

いちいち癪に触る。

「あんただってあたしに何の用なのよ」

「いや?さっき男が家から出てったから、フラれたのかと思ってサ」


…はい?

何でそーなんのよ!?


「は?意味わかんない。フラれてないし。てか大地は彼氏でもないっつーの」

「じゃあ何で速音んとこ行くんだよ」

「エッチしにきただけ」


春馬は、顔をしかめて無言になってしまった。


気まずい空気に、耐えれなくなったあたしは、きびすを返して、家に入ろうとした。


「…っ…待てよ!」

突然の、春馬の大声に驚いて、あたしは振り返った。

「…み…見栄張んなくてもいいんだぜ。馬鹿にしないから、強がんなって」


鼻で笑いながら言い放った春馬に、あたしは回し蹴りをした。
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