bitter・princess ー短編ー
家に入ると、あたしは自室に入りテレビを付け、ソファーに寝転がった。

目の前の机の上には、買い置きしていたお菓子と炭酸飲料。


こんなときはヤケ食いに限る。

「何なのよ、あのくそガキは!! あ〜!ムカツク!!」

あたしはひとりブツクサ言いながら、お菓子を頬張った。

「俺も一口もーらいっ」

と言う声と共に、背後から伸びる、逞しく、いい感じに筋肉のついた手。

「お兄ちゃん」

「お前、今日も家に男上げたろ。男モンの香水の匂いが充満してるぞ」


お兄ちゃんは、お菓子を口に運びながら言った。


兄の咲哉は、ぱっと見は、女みたいだ。

お母さん譲りの、色素の薄い髪と瞳。

お父さん譲りのスッと通った鼻筋に、形のいい唇、切れ長の目。


宝ジェンヌみたいな顔をしているが、男だ。


別に、あたしがブスなわけじゃない。

自分で言うのも何だが、結構整っているほう。

ただ、少しお父さんの血が濃いらしく、若干男前な顔だ。


あたしたちは、兄妹揃って背が高い。

あたしは、168cm。
お兄ちゃんは、189cm。

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