bitter・princess ー短編ー
あのくそガキ。

春馬にだけは越される気はなかったのに…

気が付けば、見上げているのはあたしのほうだった。


あいつ、中学上がってから、急激にモテ始めた。

まあ、格好いいほうだし、背も高いし、おまけに頭もいい。

モテ要素は十分にある。


あいつもそれなりに女がいるんだから

あたしの私情には口を挟まないでほしい。


「はーやねっ!眉間に皺!寄ってるぞ?」

お兄ちゃんに言われて、我に返った。

危ない危ない。

あいつのこと考えると、いつも眉間に皺が寄る。


「美人が台無しよ」

…その辺の女よりはるかに美人な男のお前に言われたくない。


口には出さなかったが、目で伝わったらしく

とてつもなく痛いでこピンをかまされた。


「痛ーい!!」

あたしは、お兄ちゃんの太股に、パンチをした。

「蚊が止まったのかと思った」

お兄ちゃんはそう言い残して、部屋を出ていった。


何なのよ。

春馬も、お兄ちゃんも。

逐一、あたしのカンに障る。
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